レビュー・この気持ちもいつか忘れる

 


(Amazonより)

大ベストセラー『君の膵臓をたべたい』の著者による、初めての恋愛長篇!

退屈な日常に絶望する高校生のカヤの前に現れた、まばゆい光。

それは爪と目しか見えない異世界の少女との出会いだった。

真夜中の邂逅を重ねるうち、互いの世界に不思議なシンクロがあることに気づき、二人は実験を始める――。

最注目の著者が描く、魂を焦がす恋の物語。小説×音楽の境界を超える、新感覚コラボ!

 

前半と後半で全く別の世界観だと思いました。


前半は、幸せが溢れていました。

まるで自分と大事な人だけがこの世界に存在するような、
ただそれだけにまっすぐになれるような、純粋な気持ちになれました。


作中では「突風」と書かれていましたが、本当にアオハルな世界観でした。

一方で後半では、今生きている現実に向き合わなければいけない、という葛藤を感じました。
主人公が、過去の幸せにしがみついて、前に進めないでいた姿を見て、
なんだか哀れになってきた。とても苦しかったです。

でも主人公は、そんな姿をさらけ出すことで、
今まで自分を囲ってきた幸せの殻が良い意味で砕けて、前に踏み出します。
大人への階段を昇っていきました。

葛藤を抱えながらも前に進んでいく姿を見て、
大人になることも案外悪くないんじゃないかな?と思いました。

自分をすべてさらけ出して、そんな自分を受け止めてくれた人に出会えた
今の主人公の姿は、
楽しいという言葉は当てはまらないかもしれないけど、
今までみたいに嫌々生きてます感はなくなってきたように感じました。

「嫌でない」なら、それはそれでいいんじゃないかな。
そんな日々が十分幸せなんじゃないかな?と思いました。