レビュー・ひとりで生きていく
この本の題名に惹かれた方々は、少なからず孤独心を抱いているのではないでしょうか。
いい年して独身・彼氏彼女がいないのは、その人がこじらせているからとか、友達がいない人生は寂しい、とか。
「お前に何がわかるんだ!!」なんて言ってやりたいところですが、それでもまだシングルは肩身が狭いのが日本の実情。
時代は変わっているとはいえ、当分この風潮はなくならない気もします…。
そんな苦しい思いをしている方々に向けて、芸人兼ソロキャンパーのヒロシさんが、生き方のヒントをくれるのがこの本です。
一応先に言っておきますが、本書は、ひとりで生きるということから脱出できる術が書かれた本ではありません。人との関係をすべて断ち切ってしまう話でもありません。
生き方に一発逆転はないっていうのが、ヒロシさんの考え方ですからね。
ですが、独身中年男の等身大の言葉が書かれている本であり、だからこそ惹きつけられるのだと感じました。
ひとりで生きていることに悩んだり、苦しんでいる人にとって、ヒロシさんの温かい言葉がゆっくりとしみてくる本です。
それでは、本の内容を要約していきます。
- 人間関係は流動的なものと考える
学生時代に仲良くなった人とは、その時はその相手といつか疎遠になることなんて考えられないですよね。
私も、高校・大学と仲良かった友達とは、社会人になってからも、年に一回でも会えるくらいの緩い関係であっても、続いていくんだろうなーと思っていました。
でも社会に出て、悲しいかな疎遠になってしまった人も何人かいます。
お互いの生活が忙しいのもあるし、なにより話が合わないんですよね。
学生の頃は、共通の話題であふれてましたから、本当に他愛もないことでお互い笑えたりしたのに、お互い別々の仕事になると、なかなかそうもいかない。
そんなこんなで、次第に疎遠になってしまうのでしょうね…。
でもそんなときは、人間関係は、「川のように流れていく」ものと考えてみましょう。
誰かと疎遠になっても、またその先で新しい出会いがあるかもしれない。
いつか疎遠になってしまうとしても、その時自分に幸せを与えてくれた相手に感謝できれば、楽しく生きられます。
そしてまた、その時々の自分に合った相手が見つかるのを楽しみにしてみましょう。
人間関係に絶対的なものはないと思えば、今自分の近くにいてくれる相手とも、
「この良い関係をずっと保たなければ!」なんて気を張らずに、のんびりした気持ちで接することができるのではないでしょうか。
人間関係は、もっと緩く考えていいと思わせてくれた章でした。
2. ひとりで生きられる場所に逃げる
いきなり「逃げる」なんて、なんだかマイナスなイメージが湧いてきませんか?
「ここで逃げたら、一生逃げる人生を送ることになる」
「成果が出ないのは、自分の努力が足りないから」
なんて、まるでブラック企業で言われそうな言葉ですが、日本人は結構この気質が染みついていると思うんですよね…。
個人的には、自分の人生なんだから、嫌なことからが逃げたっていいじゃないか…!、なんて思ったりもしていますが…。
追い打ちをかけるように、瀬戸内寂聴さんに「置かれた場所で咲きなさい」なんて言われると、逃げることに罪悪感を感じたり、見えない(本当は存在しない)敵に負けた気分になってしまうこともありますよね。
そんな風潮に対してヒロシさんはズバリ、「置かれた場所で咲くのはしんどい」と言ってくれています。
本当は言いたくても言い出せない多くの日本人の気持ちを、ヒロシさんが代弁して言ってくれたようなものですね。感謝。
もちろん、置かれた場所で咲ける人もいると思います。そういう人は、精一杯その環境で頑張ればいいんです。
でも、その環境で頑張れない人は、戦わなくても済む環境に一旦身を置いてみることもありなんじゃないでしょうか。
ヒロシさんみたいな芸人の世界だけではなく、会社員の世界も激戦区ですよね。
出世する人もいれば、リストラの対象になる人もいる。
少ない椅子を奪い合う激戦区は、そこにいるだけで消耗してしまいますよね。
仕事だからと割り切れればいいんでしょうけど、その悟りを開けるまでにも、きつい道のりが待っていますよね…。
そんな時は、戦わなくて済む環境に逃げてしまいましょう。
独身じゃないと難しいかもしれませんが、違う会社に移ってみるのも手です。
日本には、自分がまだ知らない数えきれないほどの会社があるわけだし。
また転職しないでも、アフター5の活動に人生を捧げてみるのも手ですね。
「仕事は一日の三分の一以上を占めるのだから、それが充実してないのはもったいない」なんて言ってくる人もいますが、そんな言葉は無視です。
辛い仕事を頑張って耐えるからこそ、その反動でアフター5や休日の活動が、とても充実したものに思えるなんてこともあるのではないでしょうか。
自分が逃げ込んだ、心地よく生きていける場所で咲くことができれば、それだけで十分人生楽しめる気がしませんか?
- 人生がときめく、ひとりぼっちの暇潰し
ひとりぼっちで辛くなる時、それはズバリ「暇なとき」だと思います。
手持無沙汰で何もすることがない。
なんとなくSNSを見てみると、リア充な生活を送っている人たちの充実っぷりが、溢れるほど目に入ってくる。そして、ひとりぼっちである自分に対して絶望し、病み始める。
私はこんな感じです(笑)。
試しにSNSを見るのをやめてみたりもしたんですけど、それでも自分の人生についてとか、いろいろ考え始めてしまいますよね、答えなんてないのに。
そんな時は、暇な時間を健全につぶす方法を身につけることに、労力を注いでみましょう。ヒロシさんも、「ソロキャンプ」というハマれるものに出会えたから、仕事が多少なくなることも、誰からも注目されない人になることも、怖くなくなったといいます。
暇ができれば、「よし、キャンプに行こう!」となるからです。
かといって、今ハマれるものがない人に、いきなり何かにハマってくださいというのも、無理がありますよね。
そんな時はまず、成果が出るかどうかなんて考えずに、まず色々なものに同時に手を出してみることをお勧めします。
同時にたくさんの種をまくことができれば、その中でたまたまひとつが芽を出すこともあるかもしれません。
大事なのは、軽い気持ちでやり、かつ同時にたくさん蒔くことだそうです。あれこれと結果を考えるのは始めた後にすることにして、何も考えないくらいがちょうどいいそうです。
とりあえず今持ってるスマホでYouTube始めてみる、とか、流行に乗ってソロキャンプ始めてみるとか、そんな軽いノリでいいのではないのでしょうか。
今自分にハマれるものがないと思う人は、「新しいことを始めてみることにハマってます」
なんて言ってしまうのもありかな、と思うようになりました。
一つに固執してしまうと、それが自分に合っていなかったり、途中で躓いてしまった時などに、どうしようもなくなってしまいますからね。
人生の選択肢は多いに越したことはありません!
何が自分に向いていて、何がうまくいくかは、そもそもやってみなければわかりませんしね。
そんな、一歩踏み出せない人の背中を押してくれるようなヒロシさんの話でした。
- まとめ
ひとりで生きていくのは、楽しいことだけではないと思います。
時にはつらいことや苦しいことだってたくさん経験すると思います。
けれども、「ひとりで生きていくのは決して不幸せなことではない」「ひとりで生きても当然幸せになれる」というヒロシさんの言葉には、人生に躓いてもまた一歩踏み出せるような勇気をもらえると思います。
私も、ヒロシさんみたいに幸せと思える人生を作り上げていきたいと、思わせてくれた本でした。